消えない夏の呪い
ダメだ…。
忘れたい。前向きになりたい。楽しい気持ちでいたい。
なのにどうしてもあの夏の記憶が頭にこびりついて離れない。
なんでこんなに辛いんだろう。
なんで忘れられないんだろう。
時々グラブル友達に話す。
こんなことがあったんだと。
みんな深く同情してくれる。
その人達おかしいよって言ってくれる。
君間違ってないよと。
その都度気持ちが救われる。軽くなる。
だけどなんでかな。
また数日もすればすぐにあの記憶が、あの人達が私の頭から消えなくなる。
忘れたい。記憶から消えて欲しい。辛い。
消えない。消したいのに消えてくれない。
どうしたらここから抜けれるのかわからない。
だれか、助けて欲しい。
でも誰も助けれないし、そうあってはならない。
誰かがいないと抜けられないのなら、みっつめの団の団長に洗脳された時と同じことが起こる。
でも、どうしたらいいかわからない。つらい。
誰か教えて欲しい。
私どうしたらいいの。
新しい団を探す気力なんて湧かない。
やっと馴染めてきたよっつめの団がなくなって、また一から新しい団でビクビクしなきゃいけないのかと思うと気が遠くなる。
長く一緒にいれる人が欲しい。
新しい環境に頻繁に馴染まなきゃいけないのは辛い。
ただここにいる
よっつめの団が解散して数日。
今も団VCに行く。
団ディスコに今も募集がかかる日課マルチ。
マルチの時間、夜になると人が集まる。
連戦中に団長もひょっこりやって来る。
私はその同じみのアイコンを見て
自分の尻尾が左右にぶんぶん振っているのを感じる。
だけどそんなことは口にせず
私は言葉少なにそこにいる。
表情が見えないVCに感謝する。
失うことになって初めて
その大切さに気づく。
離れたくないと思う。
もしも解散がなければ
団を去っていたのは私だったかもしれない。
団長がグラブルにモチベがないことを
何となく感じていたし
私は団長やみんなと一緒に遊べる別のゲームもなく、寂しかった。
私が他の団に移った方がいいだろうかと感じる時はいつも、寂しくなったときだ。
寂しさを埋めるために他の活気ある団に移っても寂しさが消えるのは一時的で、置いてきた寂しさは私の後ろにいつもいることを知る。
誰かを好きになると、それが恋でも友情でも何でも、同時に寂しさがセットでついてくる。
みっつめの団にいた時の団員と昨日喋った。
その人と話すとあの頃の酷い出来事を笑えた。
「みんな共依存してるよね」とその人が笑って言うものだから、ああなんだ、あなたも同じこと思ってたんだねと笑った。
私もその共依存の渦中にいた。あの頃。
苦しかった。
退団する前からよく泣いていた。
あの頃思っていた。
団長に見捨てられたら私は終わりだって。
団長が、人見知りで人間不信の私に手を差し伸べてくれたから、私は団に馴染めて毎日楽しくなったんだって。
でも、そうじゃなかった。
今のよっつめの団に来てわかった。
時間はかかるけど、人見知りで人間不信の私はちゃんとゆっくり団に馴染めるのだ。
ここの団の団長は前の団長とは真逆で、私に干渉してこなかった。私が助けを求めない限り手を出してこなかった。
自分の領域を無理して出ることも、私の領域に入って無理してでも私を助けようともしなかった。
団長らしさ、男らしさ、力、それらの誇示をまるでしない人だった。
そんな穏やかな団長の元に集まる人はみんな穏やかだった。
大抵の人は新しい人と馴染むのに時間がかかるし、無理して頑張る必要もなく、心を開いてさえいればちゃんと馴染める時が来るんだって。
よっぽど悪い団でなければね。
よっつめの団の団長が大好きで、ペア狩りをお願いして最終日にそれをした。
他の団員もよく参戦してきてよくペアではなくなったけど、好きな人を独占しようとは思わなかった。
メガネが柚子を独占するために柚子と共に私を疎外した痛みを私は忘れられない。今も時々あの記憶に襲われて涙が出る。
独占心は自然なもの。
だけどそれを人に向けたら、メガネがやったように私も誰かを深く傷つけるかもしれない。
あの痛みを私が誰かに与えるかもしれない。
そうならない方法とは何か。
それは多分、手放すことだと思った。
独占したいものを相手に手放す、与える、許すこと。
手放した私の中に入ってくるものは、寂しさと、豊かさ、穏やかさ。
メガネが柚子を独占したいならそうすればいいし、柚子がメガネといたいのならそうすればいい。
私はただそれを受け入れる。
団長がどんな人かまだよく知らないけど、穏やかな人だって感じる。
私もこんな穏やかな人になりたいと思った。
もう解散してしまったけど、私は団長が大好き。
よっつめの団
最初は傭兵で入った。
衝動的にみっつめの団を抜けた時、やっぱり団に戻りたいと団長にお願いし、だけど私があの時団長の提案を受け入れずに突然辞めたことに怒っていたかショックを受けていた団長から、急に戻ってきては団員に変に思われるから団に戻るなら1ヶ月後と言われた。
団活を始めたちょうどその日、たまたまその時一枠の団員募集をしていたのが【よっつめの団】だ。
よっつめの団は以前から憧れていた団だった。
ネット上の団長の文章を以前から読んでいた。
憧れるのは必然だ。
だけど自分なんかに入れると思っていなかった。
それでもその頃はかなりランクも上がっていたし、ダメ元で応募してみた。
他にも応募者がいたみたいで一日待たされて、やっぱり無理だろうなと他の団を探していたところ、よっつめの団から返事が来て入団の運びとなった。
よっつめの団は有名団だった。
団事情に疎い私でもその名を知っていた。
周りの友達にも「良い団に入ったね」とよく言われた。嬉しかった。
とは言え中身は知らない人しかいない団だ。
人見知りの強い私は緊張しながら、頑張って毎日連戦に参加していた。
ある人が新入団員である私を気にかけて声をかけてくれて、それが嬉しかった。
団員であるというだけで、無条件でその場に受け入れてもらえる。
みっつめの団から疎外されてボロボロだった私にとって、その存在は暖かかった。
その頃友達が自分の身内の集まるdiscordのサーバーに私を入れてくれたりもした。
そこのサーバーの人たちも、よく知らない私にとても優しくしてくれた。
自分達は疎外したり仲間外れにしたりしないからね、と言ってもらえたことが本当に嬉しかった。
前向きになろうとしながら、時々疎外された記憶が蘇って泣いた。
許せない気持ち、だけど悪気はなかったであろう彼らの不器用さ、それでもどうしても辛い記憶が私を苦しめたし、彼らの優しさを知っているけど、信じているけど、信じられなくて、東京オフ以降、馬鹿にされて笑われてる気がして、辛かった。
そんな日が長く続いた。
よっつめの団で私は猫を被っていた。
自分の媚びた女々しい性格を出したらまた疎外されるのではないかと怖くてたまらなかった。
私の憧れだった団長は、VCでもそんなに俺が俺がと喋らない穏やかな人だった。
例えば私と二人きりになって沈黙になってもさほど気にしていないような、マイペースで、慌てない、ゆったりとした人。
みっつめの団の時のボケとツッコミのオンパレードな明るく騒がしい(でもちょっと疲れる)VCとは真逆。
私は慣れないその穏やかな空気や時折訪れる少しの沈黙に最初はドキドキした。何か会話しなければいけないのではないかと思った。
それでも沈黙のまま静かに過ごしていると、そのうち誰か話し始めるし、焦る必要は何もなかった。
夜から早朝まで誰かがワイワイ喋ってるみっつめの団とは違って、ここの団は夜のアルバハ連戦で人が集まって、それが終わって少し話すとみんな別のゲームや何かをしにVCから落ちて行った。
ダラダラと話さない潔さが良いなと最初は思ったものの、やっぱり少し寂しかった。
私も別のゲーム出来たらな、アニメのこと、えっちな話、そんな話が出来たらよかったな。
そんなことを前の団でも思っては寂しくてよく泣いてた。
よっつめの団に来ても、仲良くなりたくて、一緒に遊びたくて、だけど人見知りが強くて上手く話せないし、共通の話題も少なくて、どうしていいかわからなくて寂しかった。
辞めたほうがいいかな、、、とも考えた。
入団して三ヶ月経っていた。
団長が突然言った。
今回の古戦場をもって団を解散します、と。
そして団は解散された。
寂しかった。悲しかった。
三ヶ月しか在籍してなくて、話したことがない人も少なくないし、古参の人に比べてみんなと共有した時間は少ないのにこんなこと言うのは変だろうか?
それでも、私はこの団と団長が、本当に大好きだった。
その想いはみんな同じだったようで、団VCは解散発表の日も、古戦場最後の日も、解散後も賑わっていたし、私も解散してからの方がみんなと話せるようになった。
好きという気持ちを、団長やみんなと一緒にお喋りしたりVCで同じ時間を共有する形で表現出来ることはとても幸せだった。
例えば柚子に恋してたときの私が柚子とお喋り出来ることと、大好きな団のひとたちと団長とお喋り出来ることの幸福に、今の私は甲乙をつけられなかった。
たとえただのネットのゲームの出会いでも、仲良くなれた人の存在は私にとって大切だった。
同じように団員や柚子のことが大好きで東京オフに行って疎外された記憶は今も胸をえぐる。
それでも、今の団の人たちと団長に会えたことは幸せに思う。そう思える豊かな心があって幸せだと思う。
団の解散に涙出来ること、落ち込めること、
団長がブレることなくグラブルから退いていく姿に寂しさを覚えること、
そんなに心を動かされる存在に出会えたことは幸せ。
あんなに傷ついたのに、また人を愛せる自分でよかったと、心底思う。
よっつめの団は解散したけど、私は今もみんなとツイッターやVCでお喋り出来て、幸せです。
捨てた
私が前の団(みっつめの団)を辞めたとき
最初は衝動的に自罰行為的に辞めて
団長に辞めるとDM送ったらあっさり承諾してきて
引き止めて貰えなかったことがショックだった。
「やっぱり柚子のことは引き止めるけど、私にはいなくなって欲しかったんだ」と思った。
その後すぐ後悔して団に戻りたいとDMを送った。団長の要求してた「30人全員と平等に仲良くなる(しなければ解雇)」という理不尽過ぎる案件も飲み込んで。
(こういう展開、過去の恋愛でも全く同じのがあった。
同棲した後に二股してたことが発覚した自称カウンセラー男に捨てられたくなくて、繋がっていたくて、男が要求するまま「カウンセリング代」を払って、二股したことについて話し合をしたり。
理不尽な要求を飲み込んでまで、自分は優しいと思ってるクズ男にすがりついた。)
団長は私の再入団希望DMを丸3日ほど無視した後、通話にこたえた。
話を聞いていて初めて気がついたが、団長は私が突然辞めたことに傷ついているようだった。
動揺とか、警戒とか、恐れとか、そんな類の空気が張り詰めていて、それらを全て「団長としてのあるべき台詞」でコーティングして隠しているように見えた。
「すぐ辞めてすぐ戻るような人を団に入れるのはどうか」とか色々言っていて、それは間違いなく一理あるが、それは言い訳な気がした。
話し合いが進んで、
「俺はあの人(私のこと)を簡単に辞めさせないからね、と柚子から相談を受けた時あいつに言ったんだ」と団長は言った。
私は団長は私に辞めて欲しかったのだとばかり思っていたから、その言葉に愛を感じて安心した。
それから「俺にとって団辞めるというのは相当な出来事だ。だからあんな簡単に団を辞めたことは深く反省して欲しい」と言われた。
ごめんなさいと、私は深々と言った。
この人はまるで、傷ついた少年のようだった。
ずっと「団長大好き大好き」と言っていた女に唐突に別れを告げられて、高いプライドをガタガタに崩された少年。
そのことを「謝って!!!」と泣き顔で言ってくる男の子。
女を傷つけて別れまで追い込んだのは自分なのに、そのことにも気がついてなくて。
彼は泣いてる。
それを全部隠してる。
私と柚子の個人的問題に調停役として土足で入ってきて、調停役としてあるまじき私情を撒き散らされさらに拗れさせられて、それは無断で人の庭に入ってきて好きなだけゲロを吐き散らかして行くようなもので。
調停役を全う出来ないのなら
問題に入って来て欲しくなかった。
個人的人間関係の対処の下手さ(団員の個人的人間関係に両者からの依頼もないのに介入しちゃ絶対ダメ)も全て団長の有り余る愛と優しさ故の過保護なのはわかるし、団長のそういう人柄を信頼しているが、団長としての能力に関してはそれ以降信用できなくなっていた。
話し合いは無事終わり、団長に再入団の段取りを1ヶ月かけて整えてもらって再入団する手はずだった。
結局それを辞退したのは、柚子との関係がさらに拗れ他の団員からも避けられたオフ会のショックも大きな理由ではあるが、本当の理由は、その時短期で所属していた団に魅力を感じていたからだ。
団員からいじめられて団を辞めたようにここでは書いてるし、自分でもそう思っているがそうではない。
柚子と団長のいる団より、今の団の方が格上だと感じたからだ。雰囲気も良かった。女性侮蔑的な発言を冗談でも言う人がいなかった。
ただ前の団で団員数人から避けられたことがあまりにショックで、それを一切対処してくれなかった団長にもショックで、どうしても悲劇的被害者な言い方をしてしまう。
団が私を捨てたのではない。
私がそんな団を捨てたのだ。
より良い団が良かったから。
許せない気持ち
毎日、私が団を辞めたあの日のことが、オフの日のことが、どんなに止めようとしても思い出されて、許せない気持ちが止まらなくなる。
その度に、ああちゃんと前向きになろうと、もう過去のことなんだから今を楽しく生きることに集中しようと自分に言い聞かせて、無理やり楽しいことを考える。
でも私が辛いときに他人からそんな風に強引なポジティブなこと言われたら、辛い。
つらいな。
いつまで続くのかな。。
私からしたら、柚子と団長の個人的な女性への恨みと恐怖が全部私にぶつけられたみたいに思う。理不尽だよ。。
俺の言う通りにするなら俺は力になるよ、でも言う通りにする努力をしなければ解雇だよという、選択権をくれない団長。
まるで束縛的なDV彼氏。
(でも最初の優しさを見た時からそんな気はしてた)
なのに当人たちは自分が正しいと一つも疑わず今日も団で平和に楽しく過ごして笑ってるんだから、許せるわけないじゃない。
誰か怒って欲しかった。
あなた達おかしいよって、怒って欲しかった。
私が怒ればよかった?
◯んだらいいのに。
許せない。
でも、私のことを心配して、助けたくて、人付き合いうまくもない癖に、柚子は私を背負って、団長はそんな柚子と私を背負って、重たくて周りを見渡せなくなって、目の前の足下しか見えなくなって、
それであんなまるで何も事態が見えていない脅迫のような提案を、二人は私にしてきたのかもしれない、とも、思う。
許せない。二人が私にしたこと。
私の心を土足で踏みにじったこと。
それを何とも思わず今日も団で笑っていること。
絶対許せない。
だけど、傷つけるつもりは、なかったんだろう。
恨みや恐怖の邪念と、何とか助けたい優しさが混濁した気持ちで、傷つけるつもりは、なかったんだろう。
本当は泣いてばかりの私の力になりたかったんだろう。何とか助けたかったんだろう。
あれは彼等の、私への愛情だったんだろう。
下手くそな愛情表現だったんだろう。
トゲだらけの、優しさ。
許せないから、ありがとうとか言えない。
何も言えない。
うまく言えない。
泣きたい。
またどこかで
みっつめの団にいた3ヶ月半は本当に楽しかった。
家族だと思っていた。
ずっとこのままみんなと一緒にいたいと
そう思っていた。
それが柚子と団長との話し合いのあの日
急に消えて、
私からしたら二人に精神的に追い込まれ奪われて
私は消えない傷と寂しさと恨みをずっと抱いていた。
そう、ほんと言うと心底憎み恨んでいた。
今もそう。
大好きで大好きで大事な団だったからこそ、その喪失から生まれた怒りは一ヶ月や二ヶ月で収まるものではなかった。
雅子に相談すると「悪く考え過ぎだよ。あなたのことをメガネが避けたことだって、聞かなければわからなかったことなんだし、そんな風に自ら悪く考えないで楽しく考えよ」と眩し過ぎるポジティブシンキングを押しつけられるようになった。
雅子ももう私の相談を聞くのが疲れたのだなと思ったし、私も雅子の強引な前向き発言を聞いていると心が辛くなるので、相談するのをやめた。
十姉妹君にも相談するのをやめた。
話を聞いてくれる人は有難いことに他にもいた。
だけどもうあまり相談しなかった。
これ以上話してももうあまり意味がないと思った。強引なポジティブシンキングは聞きたくなかった。
寂しさは私のものでしかないと思った。
十姉妹君や雅子や話を聞いてくれる人達にその寂しさを埋めてもらおうとしても、全部一時しのぎにしかならない。
誰にも、私の深い孤独はわからない。
誰も私の心の奥には降りてこれない。
ひとりぼっちで泣く居場所。
それがこのブログであり、私の心の奥深く。
寂しくて辛くて毎日毎日泣いても枯れない
涙が轟々と涌き出る海のような井戸。
怨恨と憎悪と孤独の黒い妖怪も毎日毎日出る。
傷つけた人達は今日もみんなで笑ってる。
私が未だ泣いてることなど知らずに。
おそらく多分柚子も何かしら傷ついていて
怒り過ぎる(傷つき過ぎる)か優しくなり過ぎるかの両極端コミュニケーションしかしてこない彼の気持ちは、彼の少な過ぎる言葉だけでは私には全くわからない。
自分の傷も孤独も、最後は自分一人で向き合うしかない。(それでも気持ちを伝えることを伝える前から諦めたくない)
私が向き合い続けてわかったことは、
(まだわからないことだらけだが)
あの団にいて楽しかった日々、
柚子からもらった暖かい優しさ、
団員たちからもらった沢山の優しさ、
団長の過干渉な優しさ、
「あなたはここにいていいんだよ」と与えられた居場所、
幸せな毎日、笑顔でいれた日々、
それらは全て
他人から与えられたものだった。
私の言動が関与して与えられたものでもあるが
私が自ら計画してその計画通り得たものではなく
私がもらった愛や優しさや暖かさは
みんなが、柚子が、
その時その時選択して私にくれたもので、一つも私の所有物ではなかった。
理不尽なことをされて怒るのは当然だし
怒っているなら怒るべきだし
どれだけ怒ってもいいんだけど
ただ、みんな他者から、天から降ってきた幸福で、降らなくなった幸福の雨について怒り続ける必要はないんだと思った。
雨ならいつか止んで当たり前だし
柚子がくれた優しさが柚子のものだったなら
それを引っ込めるのも彼の自由で
団長にしても同じ。
私が価値がないとかそういう話ではなく
雨はまた無差別に降るものだから
いつまでも「無価値な女」だなんて信じて傷つき続けなくていいんだと思った。
許せない気持ちはこれからも出るんだろうし
これからも私は寂しくて一人で泣くんだろうけど
でもそれが元々の私自身で、性格で、
だからこのままでいるし
あの団は許せないけど幸せだった、
本当に楽しかった、
その瞬間瞬間私に優しさと愛を分けてくれた
柚子や団長や団員の人たち、
みんな本当に、ありがとう。
私と真剣な話なんて一度もしたことがなく
特別仲良くしてたわけでもなく
普段可笑しなことしか言わなかったのに
私が辞めた直後にまるで全てを察して
私に暖かく優しいDMを送ってくれたある団員の
その彼のくれた最後の言葉で締めようと思う。
また、どこかで。
人を好きになること
人を好きになることは、何も悪いことじゃない。
その人を好きになったことでその人から嫌われてしまっても、それで人を好きになる自分の心が大嫌いになってしまっても、汚らわしく思えても、人を好きになることは何一つ悪くないんだ。
柚子も、団長も、メガネも、
柚子を好きになった私をまるでこの世に間違って生まれた異物のように扱ったけど、そんな人たちの思惑に流されてはいけない。
柚子を男の人として好きになったことを
団長をお兄ちゃんのように好きになったことを
恥じることは一つもなく
汚らわしいことは一つもなく
自信のない私のままで
この自分に自信がないけど
それでも言おう。
私は柚子が好きだ。
頭の中でたくさん馬鹿にする声や冷ややかな声が聞こえる。間違ってると言う声も聞こえる。
好きな人を好きと言うことほど
鎧を脱いで裸で舞台に立つ行為はなく
正義の斧を同じ舞台から振りかざされれば簡単に傷つくし
観客席から常識の石を投げられれば傷つく。
だから逃げたくて逃げたくて逃げたくて
自分を傷つく舞台から降ろしたくて
そのために批判の言葉を浴びせてなんとか降ろそうとするその人は
柚子の顔をした共演者の私
団長の顔をした観客席の私
あの団長と柚子の三人の話し合いの時
団長や柚子より一番私を傷つけたのは
堂々と恋の舞台に立ち続けようとする私を引きずり下ろしたかった私だ。
人を好きになることが
怖くて怖くてたまらなかった。
それでも止まらない自分の心を
時々呪いたくなった。
傷つくのがどうしても怖かった。
傷つきたくなかった。
でも、もう話せなくなった柚子のことが本当は今も大好きだし、好きな人を好きでいることが大好き。
人を好きになれる豊かな自分の心が
本当は私は大好きなのだ。