よっつめの団
最初は傭兵で入った。
衝動的にみっつめの団を抜けた時、やっぱり団に戻りたいと団長にお願いし、だけど私があの時団長の提案を受け入れずに突然辞めたことに怒っていたかショックを受けていた団長から、急に戻ってきては団員に変に思われるから団に戻るなら1ヶ月後と言われた。
団活を始めたちょうどその日、たまたまその時一枠の団員募集をしていたのが【よっつめの団】だ。
よっつめの団は以前から憧れていた団だった。
ネット上の団長の文章を以前から読んでいた。
憧れるのは必然だ。
だけど自分なんかに入れると思っていなかった。
それでもその頃はかなりランクも上がっていたし、ダメ元で応募してみた。
他にも応募者がいたみたいで一日待たされて、やっぱり無理だろうなと他の団を探していたところ、よっつめの団から返事が来て入団の運びとなった。
よっつめの団は有名団だった。
団事情に疎い私でもその名を知っていた。
周りの友達にも「良い団に入ったね」とよく言われた。嬉しかった。
とは言え中身は知らない人しかいない団だ。
人見知りの強い私は緊張しながら、頑張って毎日連戦に参加していた。
ある人が新入団員である私を気にかけて声をかけてくれて、それが嬉しかった。
団員であるというだけで、無条件でその場に受け入れてもらえる。
みっつめの団から疎外されてボロボロだった私にとって、その存在は暖かかった。
その頃友達が自分の身内の集まるdiscordのサーバーに私を入れてくれたりもした。
そこのサーバーの人たちも、よく知らない私にとても優しくしてくれた。
自分達は疎外したり仲間外れにしたりしないからね、と言ってもらえたことが本当に嬉しかった。
前向きになろうとしながら、時々疎外された記憶が蘇って泣いた。
許せない気持ち、だけど悪気はなかったであろう彼らの不器用さ、それでもどうしても辛い記憶が私を苦しめたし、彼らの優しさを知っているけど、信じているけど、信じられなくて、東京オフ以降、馬鹿にされて笑われてる気がして、辛かった。
そんな日が長く続いた。
よっつめの団で私は猫を被っていた。
自分の媚びた女々しい性格を出したらまた疎外されるのではないかと怖くてたまらなかった。
私の憧れだった団長は、VCでもそんなに俺が俺がと喋らない穏やかな人だった。
例えば私と二人きりになって沈黙になってもさほど気にしていないような、マイペースで、慌てない、ゆったりとした人。
みっつめの団の時のボケとツッコミのオンパレードな明るく騒がしい(でもちょっと疲れる)VCとは真逆。
私は慣れないその穏やかな空気や時折訪れる少しの沈黙に最初はドキドキした。何か会話しなければいけないのではないかと思った。
それでも沈黙のまま静かに過ごしていると、そのうち誰か話し始めるし、焦る必要は何もなかった。
夜から早朝まで誰かがワイワイ喋ってるみっつめの団とは違って、ここの団は夜のアルバハ連戦で人が集まって、それが終わって少し話すとみんな別のゲームや何かをしにVCから落ちて行った。
ダラダラと話さない潔さが良いなと最初は思ったものの、やっぱり少し寂しかった。
私も別のゲーム出来たらな、アニメのこと、えっちな話、そんな話が出来たらよかったな。
そんなことを前の団でも思っては寂しくてよく泣いてた。
よっつめの団に来ても、仲良くなりたくて、一緒に遊びたくて、だけど人見知りが強くて上手く話せないし、共通の話題も少なくて、どうしていいかわからなくて寂しかった。
辞めたほうがいいかな、、、とも考えた。
入団して三ヶ月経っていた。
団長が突然言った。
今回の古戦場をもって団を解散します、と。
そして団は解散された。
寂しかった。悲しかった。
三ヶ月しか在籍してなくて、話したことがない人も少なくないし、古参の人に比べてみんなと共有した時間は少ないのにこんなこと言うのは変だろうか?
それでも、私はこの団と団長が、本当に大好きだった。
その想いはみんな同じだったようで、団VCは解散発表の日も、古戦場最後の日も、解散後も賑わっていたし、私も解散してからの方がみんなと話せるようになった。
好きという気持ちを、団長やみんなと一緒にお喋りしたりVCで同じ時間を共有する形で表現出来ることはとても幸せだった。
例えば柚子に恋してたときの私が柚子とお喋り出来ることと、大好きな団のひとたちと団長とお喋り出来ることの幸福に、今の私は甲乙をつけられなかった。
たとえただのネットのゲームの出会いでも、仲良くなれた人の存在は私にとって大切だった。
同じように団員や柚子のことが大好きで東京オフに行って疎外された記憶は今も胸をえぐる。
それでも、今の団の人たちと団長に会えたことは幸せに思う。そう思える豊かな心があって幸せだと思う。
団の解散に涙出来ること、落ち込めること、
団長がブレることなくグラブルから退いていく姿に寂しさを覚えること、
そんなに心を動かされる存在に出会えたことは幸せ。
あんなに傷ついたのに、また人を愛せる自分でよかったと、心底思う。
よっつめの団は解散したけど、私は今もみんなとツイッターやVCでお喋り出来て、幸せです。