よっつめの団の団長
団が解散してグラブルもプレイしなくなったよっつめの団の団長(元)。
団内に留まらず沢山の人に愛されてた。
だけどそういうものにまるで執着しなかった。
私から見て団長はとてもマイペースだし、自分の凄さや強さを本当にお首にも出さない。でも謙遜して我慢している風でもなく、まるでそういうものに興味がないように見える。
男の人によくある男らしい力を誇示する自己主張もなく、俺に任せろという態度もなければ、気弱さも見えない。(見せてないだけかな??)
ただ団長としての責任と仕事はキッチリ真っ当する。
はじめにこの団に入ったとき、正直あまり深く考えず憧れの団だという理由だけで入団した。
最初の火の古戦場時、私は前団の辛い出来事や想いを引きずっていたのでとにかく全力で走った。
その時自分はここでは少し浮いてるのではないかと思った。
よっつめの団の人たちは、私よりずっと火力の高い人が多かったが、私のように時間と根性をすり減らして必死に走る人はあまりいなかった。
団長を始めみんなゆったりしていた。
だけどやる気がないわけではなかった。
自分を消費してまで無駄走りはしないといった感じだった。
火力はさほどなくヤル気ばかりあった当時の私は浮いている気がして、違う団へ行くべきか悩んでいた。
悩みながら闇古戦場を迎えた。
せっかくここの団でまた走るなら、ここの団の走り方を私も倣ってみようと思い、過度に走ることをやめた。
それは勇気と忍耐が必要になった。
私は全力で必死に走る以外の古戦場を知らなかった。無駄走りは美徳だと思っていた。強迫観念すらあった。
過度に走ることをやめると決めて待ち受けていたものは、団内ランキングで負ける強い強い悔しさと、穏やかな気持ち、それから楽しさだった。
火の古戦場を始め、必死に走って高成績を残し終わったとき、楽しい気持ちはあまりないことが多い。
高成績を取らなければいけない、取れてやっとスタートラインに立てたような感覚。
楽しくはない。
この団の、団長のマイペースでゆったりとした走り方を真似してみて、一年以上ぶりに古戦場で穏やかな気持ちを思い出した。
この人のこの健全な空気感が私は好きだ。
みっつめの団の時のようなドロドロした空気がまるでない。
あのドロドロにはまり込んで酷い目にあった私には、ここの団長の穏やかであまり干渉し過ぎない空気は心地よかった。
ずっと見てると、少しずつ私も影響される。
こういう口より行動がお手本になる人が周りに欲しかったのだ。
実際どんな人かは詳しくはわからないけど、カッコつけず執着せずバカみたいな下品な話に笑ったりゲームばっかりする様は、野生の小動物でも見てるみたい。
だけど団を解散させたあの夜の、とても大きなため息を、私は今もよく覚えている。
長らく背負っていた大きな仕事を終えたような深いため息を、団長は独りで何度も吐いていた。
団長が躊躇うことなく
一つまた一つと
グラブルを終える仕度をするツイートを見る度
寂しさで胸が痛んだ。
もうグラブルはやりませんと宣言して、
船を降りて、
フレンドをみんな切って、
迷ってこちらを振り返ることを一度もせず
礼儀正しく淡々と整え、そして去った。
最後に団長に
ありがとうって
お世話になりましたって
言えなかった。
言ったら本当にもうお別れみたいで。
心がついていかなかった。
淡々と終わりの準備を済ませた団長みたいに
続々と新しい団へ旅立ったみんなみたいに
私はできなかった。
団長が何を考えているのか私にはわからないし
案外団長を辞めて自由になった今何も考えず好きに他のゲームをしてるのかもしれない。
私は今も団長のいなくなったあの船に静かに乗っている。
もう少しここでゆっくりしてもいいよね。