二人の兄
よっつめの団が解散して、別のゲームで団長と話す機会が増えた。
二人でvcを繋いでゲームをすることがよくあった。
団長と団員であった時の方が遠く感じた。
今の方が友人のような感覚がする。
団長はあまり自分から話してこない。
別のゲームを二人でするようになって最初の頃は必要伝達情報以外ほぼ無言だった。
無言だったけど、団長は私のゲームクエストをよく手伝いに来てくれた。
私のこと、嫌いではないんだなと感じてホッとした。
動物のように感じた。
気まぐれに好きに動いているけど、ふと私のそばに来て無言でくっついてくる動物。
私の家の犬に似ている。
何も話さなくてもそこに一緒にいてくれるだけでホッとした。
団長は私にとってそんな存在だ。
毎日のように淡々とゲームについて教えてくれて、無言の時間の方が長いvcで一緒にゲームをする。
無言でいて心から落ち着く。
時折聞こえる小さな咳払いや何か物が当たる音に、イヤホンの向こう側に生きた気配を感じて、今確かにそこにいてそれが私の存在を受け入れてくれてる安心感。
何か話しかければ返ってきて、些細な会話を楽しめる、小鳥と会話しているような感覚。
多くを語らず、だけどそこで見守ってくれている、大きな木のそばにいるような静けさ。
その木の根元で私は静かに落ち着いていて、木の規則的な鼓動を聴きながら、風が小さく吹く様を肌で楽しむような。
心が一つになってしまうような。
日向さんと話している時は日向さんの暖かさに心がトロトロと溶けて一つになってく。
団長はその静けさに耳をすませているうちに静けさと一つになって溶けていく。
心地がいい。
団長といる時はその心地よさに集中しやすい。
日向さんといるときは恋愛感情が入ってきて、先のこと過去の恋愛トラウマなんかが頭をよぎるので、集中しづらい。
それでも暖かいのは変わりない。
どちらも大切な存在。